ある日、ミン・ソンハは《儀龍派》と呼ばれる暴力組織のボス、
シン・イヒョンに拉致される。
何か目的があるような彼はソンハに《協力》することを要求するが……。

「協力というまでもない。言うことにちゃんと返事して、俺に愛嬌を
振りまいたりしろ。他の奴らにお前は俺の恋人に見えなきゃいけないからな」

危機に際してもしっかりと構えれば切り抜けられると言うが、現実は違っていた。
気を引き締めていたにも関わらず窮地に立たされていたのだ。

シン・イヒョンから逃れようとしていたミン・ソンハは気が付いたら
彼の仮の恋人になっていて、その上もっと絶望的なのはミン・ソンハが
初恋を始めたことであった。
他の誰でもない、あのシン・イヒョン相手に。

「既に転がり落ちてる人生だから恐れることなんてありませんよね。
そうでしょう？」

捨てられることには慣れているけれど、少しは期待してみたい。
今まで振り回されるばかりであったが、それでも愛されたい。
シン・イヒョンのために一肌脱いたら、彼は心を開いてくれるのだろうか。
確信はないけれど、果敢に一歩踏み出すことにする。
墜落の先にシン・イヒョンがいるならば、永遠に落ち続けても怖くないような
気がする。

本当に、もう恐れるものはない。